世紀末オカルト学院

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  • 「スプーン曲げ」の奇跡 第2回
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  • 伊藤監督×「月刊ムー」三上編集長 対談スペシャル  Part 1
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前回、「ムー」三上編集長の指摘によって浮かび上がった“五芒星”にまつわる奇妙な符合。しかし、本作に秘められた謎はそれだけにとどまらなかった――。

『オカ学』に散りばめられたオカルトの欠片

三上「五芒星――そういえば、平安時代の大陰陽師・安倍晴明の紋も五芒星ですね(晴明紋)。晴明を祀る晴明神社(京都上京区)には、井戸や提灯などに数多くの晴明紋が今なお残されています。そもそも陰陽道とは、「天」と「地」、「光」と「闇」、「男」と「女」というように、世界は「陰」と「陽」の二極に大別できるとする学問です。その思想を端的に表すのが『太極図』です」

伊藤「あの、白と黒の勾玉が組み合わさって円形になっている…」

三上「そうです。あの図は“世界のすべては「陰」と「陽」で成り立っている”という陰陽道の思想を表しています。似たような色の対立構図に“紅白”があります。この紅と白、どちらが陰か陽か、お分かりになりますか?」

伊藤「紅白は“祝い事”の色という印象があります。紅と白、どちらも「陽」のイメージなんですが…」

三上「多くの方がそう思ってらっしゃいますが、それは間違いです。正確には白が「陰」、紅が「陽」なんです」

伊藤「それは驚きです」

三上「白は、汚れの無い無垢な色、『ハレ』の色と考えられていますが、本来白は不吉な色だったんです。白というのは色のない“無”の状態――“死”に通じる色なんです。現在でもこの名残りは我々の生活の随所に残されています。例えば、死者に着せる死装束は“白無垢”の着物ですよね」

伊藤「たしかに…。でも、白無垢は婚礼の際にも着られます」

三上「かつて東北地方には、花嫁のようなきらびやかな衣装で葬儀に参列する風習がありました。また、現在でも中国の喪服は『白』なんです。そもそも儀式というのは、“死”の要素を含んでいるものなんですよ。例えば、卒業式や入学式。これは、それまでの自我が死んで、新たな存在として生まれ変わる“死と再生の儀式”です。儀式とは、大きく解釈すれば“転生のプロセス”なんです。結婚式も葬式も、本質的には何も変わらないんですよ」

そして三上氏は言葉を重ねる。

三上「本作の第一話は、主人公マヤの父・ヴァルトシュタイン学院の学長の葬儀から始まりますね」

伊藤「はい、葬儀が行われている学院の講堂にマヤが現れるところから物語がはじまります」

三上「彼女がそのとき着ていた服は――?」

伊藤「!!!(絶句)」

葬儀に参加する際の服装は、黒の喪服が一般的。そこに主人公のマヤは、不謹慎ともとられかねない姿で現れる。放送前につき詳細は明かせないが、ここにも確かにオカルトの符合が隠されていた――。この符合の真相は、ぜひご自身のその目で確かめてみて欲しい。

(続く) 第3回を読む